「恋人ってのは、営むものなんだ」
「愛を、だな・・・!」
「わかってるじゃないか、アイク」
俺が感心して言うと、この天然極まりない恋人はふんと偉そうに腕を組んで、
「当然だ、あんたの恋人だからなッ」
柄にもなく勉強したんだぞ、なんてふんぞり返って言うコイツはどうしてこんなにも可愛いのだろう。いやまったく、おじちゃん困っちゃうなはっは。
なにを勉強したんだかは気になるところだが、悦に入ってる顔がアホっぽくてたいそう可愛かったものだから、ツッコまないでおくことにする。
夜。
自室にて。
連れ込んだ恋人と。
寝台の上で向き合っている、このシチュエーション。
これからどうなるの、ってお前、決まりきっているだろう。上の会話を読み直せ、営むんだよ、愛を!
まさに今から、スネークとアイクの初夜が始まろうとしていた。
*
一人用のベッドは狭いものだったが、そんなことは気にならない。それよりもスネークにとって重要なのはこれからだ。いかにこの性欲に疎そうな男を啼かせてやるものか、シミュレーションは完璧だ。
さてさてさっそくキャプチャしてみるかはぁはぁ、と押し倒そうとしたところで。
ガシッ、と。
腕がせき止められた。
「・・・・・アイク」
「なんだ」
「どういうつもりだ?」
「あんたこそ」
ぐぐっ、と互いの力が均衡して妙なつばぜり合いの形になる。まさかこれから愛を営もうという雰囲気ではない。見つめあう、もとい睨み合う視線にも剣呑な色しか見えない。
さすがにスネークも、こんな展開は予想していなかった。ここはおとなしく押し倒されておけよこのKYが、と思っても、アイクは譲ろうとしない。それどころかなぜかこちらを押し倒そうとでもいうように組み合った腕に力を込めてくる。
スネークは腕力に自信があったが、アイクも豪腕っぷりには定評があった。どちらが先に倒れてもおかしくない状況だ。
「・・・まさかお前、この俺に乗るつもりか・・・?」
そのナリで? とは相手の華奢さを揶揄ったつもりだったが、アイクはニヤリと笑ってみせる。どこからどう見ても攻めとしか言いようのない鬼畜顔だ。
「当然だろ、スネーク。この日このときあんたのために俺は勉強に勉強を重ねた。だからあんたはおとなしく俺に身を任せればいい・・・!」
「冗談じゃないな・・・!」
ぐぐぐ、と力同士がきしみあって音をたてている。埒が明かない。思わず舌打ちする。
なんでこんな、今からまさに情事だというような場面で、こんな余計な力を使わなければならないのか。理不尽な状況に怒りさえ湧き上がってくる。
不意を、突くしかない。
グッ、とスネークは一気に両腕に力を込める。アイクもそれに反応して押し返す力を強めた。その一瞬、スネークがフッと力を抜く。
「ぁっ?」
唐突に行き場のなくなった力にバランスを崩し、アイクが体制を崩す。それを身をかわしながら後ろに流し、ベッドに倒れこんだところでスネークはその両腕を押さえた。
「油断大敵だな」
「くそっ・・・、」
相手は毒づいているがなんとかそれっぽくなってきた。当初の予定ではベッドに押し倒すシーンはもっと甘い雰囲気になるはずだったが、殺伐とした雰囲気でも出来ないことはない、と思いたい。
いっそ殺意さえ込められているんじゃないかと思うくらいの目で睨み付けてくるアイクを見下ろして、シミュレーションを思い出す。キスだ。ここでキスするしかない。気持ちいいかい子猫ちゃんとでも言うしかない。
そうと決まればとばかりにアイクに顔を寄せ、ハッとしたように目を見開いたアイクを無視して口付ける。が、直後。
「ッ!!?」
「っハ・・・、」
鋭い痛みが走って顔を離した。おいおいまさか。
(噛むか、普通!?)
痛みと鉄さびた味が口内ににじんで顔をしかめる。もう怒りを通り越して逆に戦慄を感じるくらいだ。普通このタイミングで恋人の舌を噛むか?いや、並みのヤツには無理だろうそんなの。空気が読めないにもほどがある。
見ればアイクはこの上ない反抗的な目で睨んできていて、その生意気な面を見るにやっと怒りがふつふつとわいてきた。
「・・・・・上等だコネコチャンンンんんん・・・・・!」
腹の底から出した声は、低く低く響き渡る。まさにスネークの穏やかじゃない心中を表したような声音だった。
*
顎を固定して乱暴に口付ける。下から聞こえるくぐもった声に罪悪感はわかない。それよりも鉄分の味がするキスが鬱陶しくてたまらなかった。アイクはこの鉄さびた味に罪悪感を感じているのだろうか。
(いや、ないだろうな絶対)
悲しくも恋人の頭の中がわかるスネークは、舌を根元から絡めて吸い上げながら少しやるせなくなる。先ほどから「う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛」とどこの獣のうめき声かもわからないような声を漏らしているのはまぎれもなく己の恋人だ。色気0。実に悲しい。
アイクは自身のバンダナで拘束された両手首が気に食わないようで、なんとか外そうともがいているが、無駄な足掻きだ。
スネークが無駄に時間をかけたその拘束は、アイクのバンダナで両手首を縛り、さらにスネークのバンダナでベッドへと括りつけられていて、腕を振り下ろすこともかなわない。スネークは容赦なくぎっちり縛ったから、暴れるとさらに手首を痛めつけるだけだ。
そうして厄介な手を封じたら足がオイタをしないように体重をかけて、やっとこキスまで持ってきたわけである。
十分に鉄分の味とともにアイクの口内を堪能して、離してやれば、荒い呼吸音が続いた。
「ぁ・・・ハッ、は、ッ、ふ、はぁー・・・、はー・・・」
「気持ちよかったかい子猫ちゃん?」
「・・・・・・・はぁ・・・。鉄くさくて、気持ち悪くて、たまらなかった。あんたなんなんだ」
お前がなんなんだと言いたい。
ようやっとスネークは気付く。コイツは子猫ちゃんなんて生易しいものじゃない。猛獣だ。バッファローとかそんなんだ。たとえばスネークがハブだとするとアイクはきっとマングースだ。それくらい憎らしい。
睨みつけてくる視線は無視して、スネークは性急に下肢へと手を伸ばす。手っ取り早く啼かすにはこれが一番だ。もはやシミュレーションなど関係ない。快楽によがり狂って泣いて謝るまで弄りつくしてやる。スネークは悪辣に笑う。
「・・・・・、」
ズボンの上からソコをさするが、アイクは眉を寄せただけだった。刺激が弱いのだろう。しょうがないな、なんて勝手に思いながらさっさとズボンと下着を剥ぎ取ると直接ソコを握り締める。
「おい、」
制止の声を無視して、なかなか大きいソレをなぞり上げる。空いた左手でシャツをたくし上げ、わき腹をなぞる。眉をしかめるアイクは、それでも声は出さなかった。普段以上の仏頂面で人の愛撫を受けているサマは、嗜虐心をそそるというよりとにかく憎らしい。胸元に吸い付いてマーキングしながら、アイク自身を扱く手の動きを早める。
「っ、」
男なら誰でもここを弄られるのは弱い。さすがのアイクも腰を軽く震わせて、顔を歪ませている。それを見られるのが嫌なのか、奴は顔をグイと背けた。
あくまでも反抗的だな、と思いながら、しかしそれもいつまでもつか、考えると口の端が上がる。
淡い色をした胸元の頂を食みながら、スネークはささやく。
「気持ちいいだろ?」
「・・・・・・・・・・、」
ギュッと口を噤んでいるアイクは必要以上に無口だ。目は壁を睨んでいて、もはやこちらを睨もうともしない。拒絶するにもほどがある。
これが本当に恋人の愛の営みなのだろうか、気分は限りなく強姦に近い。いっそ哀しくなる。
それでもめげずに胸元から顔を離して、むき出しになった耳を嬲りながら囁く。
「・・・イイんだろ?」
「・・・・・・・・・・よくない」
「うそ付け」
「よくない。くどいぞ、あんた」
なんでコイツこんなに可愛げがないんだ。いや、可愛げがない、とか、そんな可愛らしい次元の話じゃない。
やはり目を逸らしたままの不躾すぎる態度に、アイクの中心を弄る手に力が入りそうになるが、そこは大人の余裕ってヤツを無理やりに持ち出して我慢する。相手は子供だ。ムキになるなよ自分。
それでも目を下に向ければ、アイクの体は言葉ほどに感じていないわけではない。体はよっぽど素直だ、なんてのはベタすぎるエロ台詞であったので、言わないでおいたが。
わずかに揺れる腰に、屹立したソコ、さらに先走りまで出ているのだから、よっぽどわかりやすい。
胸の突起だってスネークが散々可愛がってやったおかげで赤く色づいてツンと立ち上がっているし、体も顔も熱を帯びて赤らんでいる。喋らせなければ十分にエロい。男のくせに変にエロい。
あとは喘ぎ声が聞きたいところだな、と思って、よせばいいのにスネークは、また耳朶に囁いた。
「啼いてみろよアイク。あ〜んvってな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・、」
青い双眸がやっとこちらを向いた。殺気さえ感じる。コイツは本当に俺の恋人か。スネークが一瞬だけ疑ったのも無理はない。
怒らせたな、とスネークは思っていたが、アイクはただ視線に殺気をこめただけだった。それから、少し考えるように視線を上空へやって、黙っている。
その奇妙な沈黙がスネークは気になったが、まあ気にしたら負けかと思い直してまた胸元に顔を埋めた、そのとき。
「ああん」
「・・・・・・・・・・」
思わず、手が止まってしまった。
脱力したし、気持ちだって萎えきった。
「・・・・・アイク」
「あんたが言えって言った」
「だからってお前、お前・・・あんまりだ・・・・・」
がっくりと項垂れるスネークの気持ちもわかっていただきたい。こちとら必死に愛撫しているつもりなのだ。それを、そんな、平淡で淡白でこの上なく棒読みな声で喘がれてもみろ。萎えるしかない。
様々なモノを傷つけられてへこむスネークを見て、アイクは知らぬ顔で言った。
「だから、おとなしく俺に身を任せておけばよかったものを」
まだこの男は自分が上でないと気がすまないらしい。だがそこはスネークだって譲れない、し、生意気なことを言うこのガキにプチッと脳内で何かがキれたのを感じた。
本気で泣かす。
大人気ないなどと言ってくれないでほしい。
スネークにだって、男の意地というものがあるのだ。
*****
スネークには、この日のために用意したブツがあった。
催淫効果のあるローションだ。ドロ、と粘液状のそれを手に垂らしてみる。甘い匂いが鼻腔を掠めた。
たとえばわき腹を擽ってみたり、軽くおさわり程度に敏感な場所をなでてみたりしても、アイクはいつだって無反応だった。いっそこちらがむなしくなるくらいの反応のなさ。なにやってるんだあんた、と言われた日には落ち込みもする。
つまり感度がとにかく悪いらしいこの淡白な男を喘がせるためにはどうすればいいか、スネークは悩みに悩んで、購入してしまったのだ、いわゆる媚薬入りのソレを。
どこまで効果があるかなんてわからなかったが、それでもスネークはアイクを啼かせてみたかった。初めての夜、仏頂面をして黙り込んだアイクを永遠と無言で攻め続ける、なんて、のちのトラウマになりそうで怖かったし。
手のひらがぬる、とすべるのを確認して、スネークはそれをアイクの後孔へ持っていく。ソコを撫でると、驚いたようにアイクの腰が揺れた。
「あんた、なにしてるんだッ」
「ローションだ」
「ろー・・・? っなんだかわからんが、気持ち悪い」
「今に気持ちよくなる」
なってほしいものだ。スネークの顔は真剣そのものだった。このローションに、すべてを賭けている。まさにそんな感じである。
ぬっ、と窄まりに指を押し込んでみる。まずは人差し指を、一本。
「っ・・・、」
アイクの眉がしかめられたが、やはりその顔は気持ち悪そうだった。ローションのおかげで痛みはないらしい。
それを確認して、スネークはさらに指を進める。ぬぷ、とローションが卑猥な音をたてたのを、アイクは頭の中で聞いた。
思いのほか抵抗なく埋まった指を、確かめるようにして動かす。くい、と鉤状に曲げたが、やはりアイクは眉をしかめるだけしか反応をよこさない。
本当に効果があるのか?なんて訝しみながら、とにかくスネークは無心で指を動かした。
アイクの中はとにかく熱かったし、指をしめるように収縮している。ここに突っ込んだら気持ちイイに違いない。まあ、今はアイクをよがらせるほうが先だが。
男同士でいたす場合、ココを使うのは知識として知っている。気持ちよくなれる場所があることも。
あくまでも知識としてで、スネークとて実際に男同士でいたすのは初めてだ。本当にあるのかそんな場所がと思いながらも指を動かす。そこを見つければ、あるいは。
なかなか勝手が掴めないアイクの中を探るのに夢中になっているスネークは気づかない。アイクが顔をシーツに押し付けて震えているのに。
(・・・なんか、・・・・・変だ・・・?)
熱い。
最奥に指を突っ込まれてかき回されているというのに、気持ち悪いだけじゃすまなくなってきた。わけのわからないむず痒いような感覚がゾクゾクと背中を這い上がってくる。気持ち悪い。知らない感覚に、アイクは荒くなる呼吸を必死に誤魔化す。スネークに聞かれたらコトだ、と思った。
まさかそんなところを弄られて自分が感じるとか、そんなこと、信じたくもなかった。
なおもスネークは内壁を弄り回している、が、焦れたのか突然指をもう一本突き入れてきた。
「ッッッッッー・・・!!」
堪らないのはアイクだ。
突然二本に増えた指はバラバラに動き始め、内壁をこする。熱が上がる。わけのわからない感覚が大きくなってくる。強引に動き回るどちらかの指が、なにかを、コリッと掠めた。背中を強い刺激が走り抜ける。ピカチュウの電撃よりも痺れは強烈だった、気がした。我慢できるか、こんなの。さすがのアイクでも、無理だった。
「っ、ぅ、あっ、ああッ!」
「うおッ!?」
互いにビクッと肩をはねさせる様を第三者が見ていたら、さぞかし滑稽だと思ったことだろう。
「アイク?」
「はぁっ・・・、あ、んた、ふあっ、そッこ、やめろ・・・ッ!」
「そこ?」
間抜けにつぶやいて、スネークははたと思い至る。そうして思わずグッと片手でガッツポーズを作った。ようやっと見つけたのだ。
しかも、
(喘いでる。喘いでるぞアイクが!)
やっ、ぁ、め・・・! なんてビクビクはねながら言うアイクに、激しい達成感を覚える。感無量だ。
先ほどまで仏頂面で眉をしかめるだけしかしなかったアイクが、頬を真っ赤にして口をしどけなく開いて艶のある声を上げている。普段の低い声音が若干高くなり、甘く尾を引くように掠れている。正直、下半身にクる。
先の棒読み喘ぎとはまったく違う。想像していた以上にその声はエロかった。
一気に箍が外れたのだろう、手も拘束されていたし、アイクは声を抑えこむことが出来ずに、スネークを煽る。
「ぁっぁっ、やめろ、って、スネッ、ぅぁっ、あっ・・・!」
「イイか?」
「んんっ・・・、よく、な、ぃッ」
「そんなにイイ声出しておいて、よくそんな嘘がつけるな?」
「はっ・・・・・、へん、だ・・・、変、んっ、んぁ・・・、あっは・・・、な、んか変だ、おれ・・・」
ゆるゆると首を振るアイクがなにを否定したいのかはわからない。ただその顔はとにかく淫蕩で、青い瞳はしっとり濡れているし、口をしどけなく開いて赤い舌をちろりと覗かせているのにスネークはつばを飲み込んだ。ストイックな表情が片鱗も残さず消えた顔は娼婦のいやらしさを湛えている。ついさっきまでしかめっ面をしていた男と同一人物とは思えない。
それとなく三本に増やしていた指はぐちゅぐちゅいやらしい水音をたててアイクの中を蹂躙している。熱い内壁はローションのおかげか散々に蕩けきっていて、スネークはそろそろかと内心で舌なめずりをする。下半身は限界に近い。
「・・・入れるぞ、アイク・・・」
「あ・・・、」
アイクの視線がスネークの股間をとらえた。大人の男のイチモツは、自分のモノよりも大きくてとうてい後孔に入りきるとは思えない。
基本的に何事にも怯えたりしないアイクの目が怯んで揺れたのを見て、スネークは伸び上がって紅潮して汗をかいている額に頬にキスを落とす。
「大丈夫だ・・・」
「・・・・・・・・・・、っ信じる、からな・・・!」
ギュ、といまだ拘束されたままの両手を握り締めるのを見て、スネークは手を伸ばしてその拘束を外す。
外しながら、自身を蕩けきったソコへとうずめていく。
ず、とリアルな音がして、アイクの体が強張る。固く閉じた目からついに涙がこぼれた。
泣かせてやった、とか、そんなことを思って悦に入れるほどスネークも余裕があるわけではなかった。
「ぁ、あ、あ、ッあ、あ゛・・・・・!」
「・・・はっ、ぁ・・・・・、」
アイクの引き攣った声と、スネークの吐息と、肉が擦れる音と、ぢゅぷ、なんて水音。
耳に入る音のすべてがいやらしい。それ以上に、スネークは自身がきつくて熱い内壁に納まっていくのがいやらしくて気持ちよかったし、アイクは体内に侵入してくる熱い肉棒を意識しすぎて何も考えられなかった。
ぬくっ、と最後まで押し込んで、スネークは深く息を吐く。
「っーーー・・・、全部、入ったぞ・・・」
「んぅー――――・・・・・、」
ふるりとアイクが腰を震わせたのに、スネークは一度軽く突くように腰を動かした。
「ぅ、ひあっ!」
はねた体に気をよくして、スネークは笑って動き出す。ゆっくり、馴らすように引いて、押し込む。ぐぷっ、ぬっ、ちゅく、なんて淫靡な水音がスネークをより楽しませた。
アイクは普段では考えられないような蕩けきった顔をして、口を押さえることもせず啼いた。
「あー・・・、あっ、ん、あっあぁっ・・・、」
相変わらず掠れた喘ぎ声はエロく響いて、スネークを満足させる。女のように高すぎない嬌声が、本当にアイクを抱いているのだと感じさせた。
筋肉が震えている太ももを抱え上げ、ぐい、と胸につくくらい持ち上げる。同時に深く自身を押し込めば、アイクがまた大きく跳ねた。
「ぅああッ!!」
自分の格好に羞恥を抱く余裕もないのだろう。晒されたアイクの男根は与えられる快楽に限界まで張り詰めていて、滴をこぼしている。そういえばまだ一度もイかせてなかった。つらいだろうに、とスネークは思ったが、根元をギュ、と握り締める。
「ひッ、ァ゛・・・!?」
「どうせなら一緒にイこうじゃないか、アイク」
「やっだ、はな、せッ、ゃ、ふああっ!」
いい加減慣れてきた後孔を強く突き上げて、先ほどアイクが感じまくったあの場所を狙って突いてやる。ビクビクと抱えた両足が揺れ、内壁がねだるように強く締め上げてくる。ものすごく、イイ。媚薬のせいかもしれないが、アイクの中はスネークを官能的に締め上げ、蠢いている。顔を歪めて、もっていかれそうになるのをスネークは耐えた。
解放されて行き場のなくなった両手がシーツを強く握り締めている。そのせいで出来たシーツの皺が、なんだかそそった。
スネークは、喘ぐ口を塞いだ。キスのリベンジだ。
「ふぅ゛ッ、ん、んんぅ・・・、んっふっぁ・・・、ん・・・ァッ・・・、」
くちゅ、ちゅ、と音を立てながら口内を翻弄する。今度は血の味もしない。アイクの味だ、と熱い口腔内に満足した。
さすがに今度は噛まれなかった、というかアイクにその余裕がない。なにせ今もスネークは下半身でアイクを攻め立てることをやめてはいなかったし、そのたびにガクガク揺すぶられて吐息と水音が綯い交ぜになっている。
完全に理性が蕩けてしまったらしい。うっとりとしたアイクの青い瞳に愛おしさが湧き上がって、ありがとう媚薬なんて心の中で感謝しながらスネークは目だけで微笑む。アイクの目が恍惚の色を増した。
ちゅヵッ、と音をたてて口唇を離して、スネークは最後の追い上げにかかる。一気に最奥まで突き入れると、アイクの体もそれにならってガクンと揺れた。
「ひンッッッ!!」
「ふっ、は・・・ッ、アイク・・・!」
「スネ、ッ、スネ、クッ・・・ァ、あぁッ・・・!」
愛しくて堪らない。己の手で理性をなくされたアイクはとにかく艶っぽくて、汗でしっとりと額や頬に張り付いている青髪も、汗と涙と唾液でぐしゃぐしゃになった顔も、恍惚に蕩けきった瞳も、自分の名を呼ぶしどけない口も、赤い痕が散りばめられた鎖骨も、色づいてツンと尖った胸の突起も、汗でいやらしくテカる整った腹筋も、必死になってシーツに縋る両手も、案外細くてそそる腰も、根元を押さえられて苦しげに揺れる男根も、抱えられてガクガクと揺れる足も、いやらしくスネーク自身をくわえこんで快楽を煽る体内も、何もかもがいとおしい。
そうだこれこそが愛の営みの正しい姿。感極まってスネークはさらに腰を抱え込むと激しくソコを穿ち始めた。
「あァッ! っは、アあっあっあぁ、うっん、んくっ・・・!」
ギシギシとベッドが音を立てている。理想的な音だった。それに加わって泣き叫ぶような嬌声とスネークのうめき声と腰がぶつかる音と水音と、アダルト指定の音がそろい踏みだ。
限界が近いと感じて、スネークはアイクを戒めていた指を緩めると、その先端部分を攻め立てる。くびれの部分を何度も擦りあげながら、先端のくぼみに沿って指先をこすりつける。ビクビクッと腰がはねて、アイクが叫んだ。
「ひあアッ!! やっ、もっ、スネークッ、も、だめだ! ぁッ・・・!」
「クッ・・・、いいぞ、アイク」
低く笑って、耳元に囁く。それが最後の刺激だったのかもしれない。声にならない悲鳴を上げて、アイクの自身から白濁した液が吐き出される。瞬間、強く締め付けられて内壁が誘い込むように蠢いて、スネークも小さく呻くと、アイクの中へと精を叩きつけた。
「ん、ぅ、はッ、ぁー――・・・、」
「――――・・・・・、」
互いに深く深く息を吐いて絶頂後の余韻に浸る。スネークがアイクを見ると、彼は完全に疲れきった様子だった。
放心状態ではぁ、はぁ、と荒く息をついていて、呆けた顔はひどく淫蕩で、普段の精悍な顔つきは欠片も見えない。行為直後の余韻か、体をひくんひくんと小さく痙攣させていて、それがどうもスネークの性欲を刺激した。
入れたままの自身が再び頭をもたげるのを感じて、アイクが小さく声を上げる。
互いにローションには触れたのだ、媚薬の入った状態で二人は、まだまだ性欲を持て余していたわけで。
「もう一回・・・、な?」
「・・・・・・・・・・つかれた」
心の底から疲れきった声を出したアイクだったが、スネークがぐ、と腰を動かすと、あ、と甘い声を上げたのは事実だ。
*
翌日、スネークのベッドに横になりながら、アイクはずっと黙っていた。
もうこれ以上ない不機嫌オーラを出して、動こうともしない。否、動けないのだ。
「アイク、いい加減機嫌を直せ」
「・・・・・・・・・・」
原因である男はとにかく困った顔で顎をさすって、自分でも無茶を言っていることを自覚する。正直ヤりすぎた。初めてだってのにヤりすぎた。反省だってしてる。
まさにお約束のようにアイクの翌日を潰してしまったわけだが、スネークだって正直腰が少しばかり痛い。お互いに今日は乱闘にも出れそうにないし、一日中恋人らしく二人きりで過ごすのもいいんじゃないか、とはスネークが頭の中で考えた本日のスケジュールだ。頬が緩みそうになるし実際なったが、アイクは壁側を向いているためバレてはいない。が、突然アイクが顔だけこちらに向けてきたので慌ててにやけ顔をおしやった。つもりだがアイクは見逃さなかったらしい。不機嫌顔が殺気を帯びる。
低くて掠れた声が恨めしそうに呟く。
「・・・今日は、トーナメントがあったんだ」
「ああ、そうだったな」
「もしかしたら俺が優勝していたかもしれない」
「ああ、そうだな」
「それをあんた、あんたのせいで全部台無しだ」
「・・・・・」
「責任取れ、とは言わん。が、もうアレだ、あんた」
「・・・・・なんだ?」
「もうダメだ、愛の営みは。俺は営めん」
「!!!」
「そういうことで、俺は寝る」
「ちょ、っと待て、アイク!」
まさかの無期限お預け宣言にスネークは焦ったが、アイクは布団を頭からかぶりなおし、また壁側を向いて不貞寝に入った。
やっとこれから愛を営みまくろうと思っていただけに、スネークは本気でアイクを宥めにかかる。
その熱意に押されたのか、ただ単にうるさかっただけなのか、アイクはもぞと動いて煩わしげにスネークを見て、一言。
「どうしてもやりたいなら、今度は俺があんたに乗っかるからな」
それだけは勘弁してくれ、と、スネークは本気で謝った。
初めての営みで媚薬を使うのは、相手の感度が悪くてもさすがに時期尚早だったのかもしれない。