13.立場
「あっ、あっ、あっ・・・、」
「フッ・・・、イイか、アイク?」
「ぁ・・・、スネ、クっ。い、イイッ、もっと、」
「強欲だな、お前は」
モチロン、スネークにそのお強請りを拒むつもりなどさらさらなく。
揺れる腰にしっかりと手を添えて、奥まで蹂躙するように突き上げる。
快楽に従順な性質のアイクは、その弾けるような強い快感に逆らうことなどしない。
「はっ、はぁっ・・・、んくっ、あぁぁっ!」
「いいのか?ん?こっちも弄ってやろうか?」
「ひぁうっ!ぁっ、スネークっ!そこ、イイッ!」
「素直だな、アイクは。ご褒美にこっちも弄ってやろう」
「ふああっ・・・!っあ、ぅ、もっ・・・、イっ・・・!」
背をぐぐっと反らせながら、アイクが限界を訴える。
スネークも笑いながら、しかし強く締め付けてくるアイクからもたらされる快感に余裕があるわけでもなく、更に埋め込んだ自身の動きを激しくする。
いやらしい水音と、互いの息遣いと、アイクの嬌声と、スネークの押し殺した声が響く中。
二人が同時に達しようかとしたところで。
コンコン、と場違いに軽い音が鳴った、次の瞬間。
「お邪魔しまーっす。アイクさん、明日の大乱闘って・・・、」

・・・・・・・・・・・・・・・。

「・・・って、あ、え、ぇあ・・・、おじゃ、ま、しま、した?」
「・・・・・そうだな、とりあえず今は取り込み中だから、悪いが、少し外で待っててもらえると有り難い」
「あ、はい?失礼、しました」
男同士の情事に遭遇した哀れな天使は、深くを考えることなく、言われるままに動くことしか出来ない。
パタン、とささやかな音をたてて、ドアが閉まる。
それを確認して、アイクはスネークを振り向いた。
「あんたの、萎えてるぞ?」
「・・・・・・・・・・」
話しかけるが、スネークはドアの方向に顔を向けたまま、動こうとしない。
己の中に埋まっている脱力した男のモノを感じながら、アイクはふぅと溜め息ついた。
「・・・どうも興ざめだな。抜くぞ?」
「・・・・・・・・・・」
スネークからの返答は、ない。
といってもそんなことを気にするアイクではなく、ズッと腰を動かして、体内から異物を抜いていく。
「ん・・・、ふ、ぅ・・・・・。・・・・・大丈夫か?」
「・・・・・見られた」
「あんた、見かけのワリに随分ナイーブだな」
言いながらアイクはシャワー室へ歩いていて、スネークからすればその平淡ぶりのほうが異常だ。
ベッドの上に体育座りをしながら沈黙するスネークに、シャワー室からひょっこり出てきたアイクが近付く。まだシャワーも浴びてない様子だ。
どうした、と尋ねる前に、視界が一気に暗くなる。
慣れた狭い空間。
「ダンボールだ」
「む・・・。すまないな」
いつからかアイクの部屋に2,3個常駐されるようになった、スネーク専用のダンボール。
どうもアイクなりに気を遣ってくれているらしい。まったく、なんて情けないおっさんなんだ、自分は。
今度こそシャワー室へ消えたアイクを、ダンボールの中から見送って、スネークは溜め息をついた。


これが例えば美人のレディがコトの相手なら、スネークは堂々とした態で羞恥に頬を染めるだろう相手に、「見られちまったな」なんてニヤニヤ笑いながら言えた筈だ。
それが出来なかったのは、先ほどの事態がイレギュラーだったから。
相手は同じ性を持つ男で、見られたというのにショックの欠片も羞恥の破片も見せずに自分以上に堂々としていた。
あれじゃあなんとか「見られちまったな、」と言えたところで、「そうだな」なんてまるでなんともない声で返ってくるに違いない。
しかし見られた相手というのもまた厄介だ。
この世界に厄介になっている今、毎日顔を合わせ、共同生活を送っている中の一人。
まだまだ幼い外見をしている天使の少年、ピット。
純粋そうな顔をしているが、アイクによく懐いていて、アイクに近付きすぎな感がないでもない、と前々からそれとなく警戒してきた相手だ。
戸口の真正面の壁際にアイクを縫いとめて後ろから挿入していたために、モロに見られたはずだ。
そう、問題はそこなんだ、そこ。
アイクの痴態を見られた、よりにもよってピットに!
あんな普段の仏頂面を吹っ飛ばして、快楽に染まりに染めた、スネークでさえうっと唸るほどの艶のある顔を!
ほんのりと全身を赤く染めて、男を求めてゆるゆると腰を振るう媚態を!
甘いどころではなく蕩けきった鼻にかかった嬌声も、切れ切れに掠れた吐息も!
あの嬌態はスネークだけのものだったのだ。
それを、見られた。
「・・・・・見られた・・・」
暗く狭い空間で、ポツリともう一度、スネークは呟いた。


アイクがシャワーから戻ると、ベッドの上には異様な光景が展開されていた。
スネークに被せたダンボールから、「ぬおおおお・・・、」などと地を這うような声が漏れ出し、ダンボール自体はガタガタと小刻みに震えている。
正直おどろおどろしいその光景に、アイクは首をかしげながら、とりあえずスルーしておくことにした。
扉の外にピットを待たせてあったと思ったので。
「ピット、いるか?」
「ア、イクさん・・・」
「すまん、待たせたな。それでどうした?」
「あ、いや、その・・・」
「?」
アイクが首を傾げたところで。
「後からにしてくれ」
唐突に真後ろから声をかけられ、首だけでアイクは振り向いた。
「スネーク」
「アイク、ちょっといいか」
有無を言わせぬ口調。
「なんだ、立ち直ったのか?」
「いいから」
「ぅわ・・・、引っ張るな、スネークっ。何度もすまん、ピット。後から、な?」
「あ・・・・・」
ピットが何か口にするよりも前に。
パタン、とドアが閉められた。


「・・・・・どうした?」
「仕切りなおしだ。いいだろ?」
ベッドに沈められ、性急にスネークが肩に顔を埋めてくる。
「んっ・・・。まあ、さっきは結局、最後までいけなかったから、な」
挑発的な笑み。
普段は見せない表情。
俺のモノだろう?
「お前は、俺のモノだ」
「そうか?」
「そうだ」
「あんたは?」
「俺もお前のモノだよ、マイスウィート」
「・・・そうか」
アイクが満足そうにくふんと鼻を鳴らしたのを聞きながら、スネークは目を細める。
残念無念、天使クン。
これは俺のモノなのだよ。
ほの暗い優越感に、スネークはニヤリと笑った。


マイスウィートは笑うところです(´▽`)アハハハハ